カテゴリ:本・書評( 8 )

自炊生活を始めたい

 TRPG仲間の人がルールブックを自炊してiPadで見れるようにしていたり、職場の人がPDFをiPadやKindleを使って読んでいたりするのを見て、良いなぁと思ったりしていた。

 元々興味があったのと、ちょっと色々なきっかけがあって、スキャナを買うことにした。

 購入したのはplustekのOpticBook 4800。
 本の背を裁断して両面スキャンできるADF付きのスキャナを使った方が圧倒的に早いだろうということは分かるのだけれども、それでもやはり、本を裁断することには抵抗がある。
 これだと本体の端から2mmのところまで読み取り面があって、非破壊自炊ができて良いかもしれないなと思ったのだ。スキャンに時間はかかってしまうだろうけれど、それは仕方がない。
 本の開く角度を抑えるための傾斜スタンドとかもあるようだけれど、それは買わなかった。
 代わりに、B4のレターケースを購入してその上に置いた。ちょっと位置が高くなりすぎる気がしないでもないけれど、これで十分本が机に触らずに90度に開く状態になるはず。

 とりあえず今日はソフトのインストールまで。
 ぼちぼち自炊していこう。
 電子書籍で入手できるようになっている本とか漫画とかがあれば、なるべくそっちで入手するようにしよう。

 詳しい人がいたら、色々教えてやってください。
 よろしくお願いします。
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by die-Abdiel | 2011-07-15 23:40 | 本・書評

PSYCHE

 まず最初に断り書きを。

 ダウナーな話題が苦手だったり、私の性格の暗さが受け付けない人は、読まないで下さい。そういう内容なので。

 唐辺 葉介という人の「PSYCHE (プシュケ)」を読んだ。

 割と精神的に来る内容の小説だったので、ぼろぼろ泣いてしまったりした。

 飛行機事故に遭った主人公。家族は死んで、自分だけ助かった…けれど、家ではそこに暮らす、死んだはずの家族の幻覚が見えて…というもの。

 好き嫌いは分かれそうだと思うけれど、妄想系と言うのだろうか、こういう小説をきちんと読めるように書けるってことは、きちんと文章を書ける人なんだと思う。素人が書いた妄想系の話は結構辛いことがあるから。辛い話とかではなくて、文章そのものを読むのが辛いという方で辛いことがあるから。

 なんか、こう、アマチュアでも小説を書いたり漫画を描いたりする人は、割と普通に頭の中に架空の人物が生息していたりする、と思う。……普通にとか書いちゃったけど、私だけかな。さすがに幻覚は見ないし、そういうことを話して引かれるのも困るので、脳味噌の中身を垂れ流さないようにしているけれど。物語を考える人って、そういうものだと思っていたけれど、ひょっとして私だけだったら恥ずかしいな。
 それはともかく、そういう状態だと、こういう話を書いてみたくなるのって何となく分かるな、という感じの小説なのだ。
 ただ、素人が書くと、その形にした妄想が他人には受け付けないことがままあるような。例えるなら、ギャルゲーのヒロインを気持ち悪いと言う女の人の気持ち、だろうか。こう、特定の人に対して作られた都合の良い存在って、第3者が見るとあまり快く思えないと言うか。
 そういういやらしさが前面に出てないと言うか、上手くバランスが取れているな、と思ったのだ。
 もちろん、こういうダウナーな小説自体がダメな人はダメだと思うのだけれど。

 自分の中に望む人物を作り出して、それらの幻覚と暮らす主人公も、そういう脳味噌の中の人物に形を与えてみたいという作者も、何か分かる気がして、そういう面で感情移入してしまった訳だ。

 実際、この主人公本人はこの状態を幸せに感じているのだと思った。

 ただやっぱりこう、入り込みすぎて、辛いなぁ、って…

 読んで、こう、
「自分が死んでも誰も悲しまないよな」
とか、そういう気持ちになるのだ。
 実際にはそんなことは無いだろうけど、多分。もし本当に今私が死んだら、きっと、親とか手がつけられないくらい泣くんじゃないだろうか。
 それなら、誰も悲しまないように、風に溶けて私なんか最初からいなかったことになれば良いのにな、と思ったり。

 色々考えて、辛くなってしまう。
 風邪で鼻水が止まらないのか、泣き過ぎて鼻水が止まらないのか良く分からない。

 正直、小説の出来としては良い方だと思う。
 ライトノベルでこういうへビィな内容をこういう風に描けるのは、力量のある作家なのだと思う。

 ただ、読んだ本に影響を受けやすい人は、注意した方が良い。ものすごくダウナーで、引きずられる。

 割と、小説を突き放して見れたり、精神的に落ち着いて読める状態なら大丈夫かもしれない。

 でも、アッパーな時だと、引きずられて気分が落ち込むことは無くても、共感できなくて面白く感じないという面はあるのかもしれない。

 面白いけど、辛い。
 しかし、また時間を置いてもう1度読んだら、感想も変わるのだろうか。
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by die-Abdiel | 2008-10-28 23:01 | 本・書評

カラマーゾフの兄弟

 流行り物に弱いせいで、カラマーゾフの兄弟に手を出した。何でも、亀山郁夫の新訳が出てベストセラーになったとかで、前々から気になっていたのだ。

 何となく、
「ドストエフスキーって、何か、精神病院に入院している人とかが愛読していそう」
みたいなイメージがあって、昔は敷居が高かったり敬遠したりしていたような所があった。

 しかし、いざ読み始めてみると、これが面白いの何の。

 先週辺りから1巻を読み始め、今週頭に2巻を買って読み、金曜の帰りに3巻を買って帰り、今日1日その3巻を読み耽ってしまった。自分としては、この手の本としてはハイペースで読んでいる方だと思う。

 朝起きてから、着替えもせずに、布団でごろごろしながらカラ兄3巻を開く。そのままずっと、本の虫。
 今日1日で食べたものといえば、お茶漬け1杯とカントリーマアムだけ。
 他にやったことといえば、お風呂の掃除ぐらい。いつも土曜日に掃除やら家事をまとめてやっているけれど、それら全て投げ出して。お風呂にお湯を張るのすら億劫で、今日はシャワーで済ませてしまった。

 本を読む以外、何もする気が起きない。お布団から起き上がれない。
 カラ兄、中毒性が高いな…

 先週の日曜、
「結婚していなかったら、徹夜で読み耽ってしまうかも」
なんて連れに言っていたけれど、それよりも酷いかも…
 1巻辺りはまだ、通勤中に読む程度だったけれど、だんだんそれでは物足りなくなってきた。
 3巻辺りから超面白いよ! という予備知識があったにもかかわらず、何故読み終わってから1冊ずつ買う買い方をしてしまったのだろうと、今は後悔もしきりだ。
 3巻を読み終わっても4巻が手元に無いので、仕方無く代わりに読み始めた本が、「ラブホテル進化論」。

 ちょっと自分がダメになっているような…

 昼間、連れは出かけていたのだけれど、夕方帰ってきてもまだ同じ状態で本を読んでいたので、ちょっと笑われた。連れが出かけていなかったら、本を閉じて連れの相手をしただろうか。やはり連れを放っておいて、本を読み耽ってしまっただろうか。
 その後また連れは飲み会に出かけてしまったけれど、もし連れが出かけていなかったら、ちゃんとお風呂に入っただろうか。やはりシャワーで済ませてしまっただろうか。

 そういえば、20日の晩に2巻を読んでいるのを連れが横から覗き込んだ。
 その時読んでいたのが「ロシアの修道僧」の部分だったので、
「何か、ムキムキの人が戦っているような内容を想像してしまうな」
と言われた。修道士は、英語でモンクだからか。
 「何でRPGでモンクと言えば格闘家ってイメージなんだろう」
と言われたけれど、多分少林寺のせいじゃないかと思う。あそこの僧は確かモンクの訳語を当てられていた気がする。
 しかしそれを言えば、日本の仏教の僧侶や神道の神官の訳語はプリーストだ。プリーストって、本来カトリックの役職の一つじゃなかったかと思うのだが。この手の訳語って、何か基準があって当てているのだろうか。ちょっと疑問だ。

 何ページにも渡る長い台詞を言いながら、その裏でこの人達は拳を交えているんだ、なんて想像するとバカみたいで楽しい。
 ジャンプなんかにありそうなバトルマンガを脳の中で当てていると、何だか変な漫画が脳の中で仕上がって、読んでいてアホみたいにテンションが上がってくる。

 幸か不幸か、手元に4巻が無いので、明日こそはちゃんと家のことをやろうと思う。
 でもやっぱり続きが気になるな。誘惑に負けて、4巻を買いに走ったりしないように気をつけないと。
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by die-Abdiel | 2008-03-22 22:24 | 本・書評

バーゲンブック

 第6回 出版社共同企画「期間限定 謝恩価格本フェア」のお知らせ

 このたび、出版社93社共同企画として、「期間限定 謝恩価格本フェア」をインターネット上で開催いたします。2003年秋に第1回フェアを開催し、春の「こどもの読書週間」、秋の「読書週間」を中心にして現在までに5回のフェアを開催してまいりました。おかげさまで読者のみなさまに大変好評をいただき徐々に定着してまいりました。第6回となる今回のフェアも、出版社がネットを利用して「謝恩価格本」を読者に直接販売するものです。販売をネットで行なうことにより、地域に限定されることなくご購入できます。販売価格は、「定価」「価格」(税込)の50%引きとしました。
 期間終了後は、出品書の多くが定価販売に戻るため、この機会にぜひご購入ください。

◇期  間  2006年4月20日(木)~6月20日(火) 「こどもの読書週間」を中心に・・・
◇サイト名  バーゲンブック.jp  (http://www.bargainbook.jp)
◇出品内容  出版社93社 1,349点(内・部分再販品94点)
◇販売価格  定価・価格(税込)の50%引き
◇参加出版社(五十音順)
明石書店、 あかね書房、 朝倉書店、 旭屋出版、 明日香出版社、 家の光協会、 岩崎書店、 印刷学会出版部、WAVE出版、 潮出版社、 大月書店、 学芸出版社、 学習研究社、 学陽書房、 柏書房、 角川書店、 金沢倶楽部、河出書房新社、 紀伊國屋書店、 ぎょうせい、 京都新聞出版センター、 近代映画社、 くもん出版、 研究社、工業調査会、 工作舎、 講談社、 光文社、 国土社、 径書房、 小峰書店、 三興出版、 三修社、 三省堂、三省堂企画、 産調出版、 実業之日本社、 集英社、 出版ニュース社、 主婦と生活社、 主婦の友社、 春陽堂書店、小学館、 祥伝社、 情報センター出版局、 女子パウロ会、 新水社、 新星出版社、 青弓社、 聖文新社、 清流出版、創元社、 第三書館、 大日本絵画、 TAC出版、 タッシェン・ジャパン、 淡交社、 筑摩書房、 中央公論新社、テレビ朝日、 東京大学出版会、 東京電機大学出版局、 東京美術、 どうぶつ出版、 東方出版、 東方書店、朱鷺書房、 ナカニシヤ出版、 南々社、 二玄社、 日本エディタースクール出版部、 日本経済評論社、日本実業出版社、 農山漁村文化協会、 NOVA出版局、 白泉社、 PHP研究所、 文一総合出版、 文藝春秋、文研出版、 平凡社、 ベレ出版、 法蔵館、 北溟社、 ポット出版、 ポプラ社、 マガジンハウス、 丸善出版事業部、メディアワークス、 森北出版、 山と溪谷社、 臨川書店、 路傍社
 欲しい本がちょうどバーゲン対象品になっていたりすればかなりお徳なんじゃないだろうか。数が多いのでチェックするのも大変だろうが、時間の取れる時にゆっくり目を通しておくと良いだろう。
 個人的には、普通に買うと高い学術書や、絵本の纏め買いなどが狙い目だと思う。50%引きはかなり大きい。

 また、バーゲンブックのサイトに載っている本以外でも、工作舎のように、50%ではないにしろ自社サイトで割引販売している出版社もある。目当ての本がある人はその出版社のサイトも合わせてチェックしておくと良いかもしれない。

バーゲンブック.jp
http://www.bargainbook.jp/
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by die-Abdiel | 2006-04-19 23:07 | 本・書評

バカ日本地図

 より多くのバカにとって真実味があり、共感できる日本地図を作る、という趣旨で始められたWebサイト(ブログ)の企画が書籍化されたもの。
  • 「佐賀はどこにあるかわからない」というコメントにより、佐賀は長崎に吸収されました。
  • 「鹿児島は島だったはず」「鹿児島は桜島が正式名称」というコメントにより、鹿児島県は桜島に改名され、本土から分離して島になりました。
  • 「名古屋は県名だと思っていた」というコメントにより、愛知県は名古屋県に改名されました。
  • 「佐賀ははなわの歌で知っている」という人が多かったので、対馬の位置に復活しました。
  • 四国(現高知県)を外国と考えている人がいたので、「高知はCOACH」になりました。
  • 「鳥取」は「取鳥」だと思っていた人が多数いたため、鳥取砂丘は取鳥砂丘になりました。
  • 「新幹線での移動時、静岡から名古屋まで時間がかかりすぎてヘンだ」というコメントにより、間に「未開拓地」が出現して納得できるようになりました。
  • 「軽井沢はどこにあるかわからないし、軽そうなので浮いている気がする」というコメントにより、軽井沢は浮遊都市になりました。
  • 「新潟の字は難しすぎる」というコメントにより「新潟」は「にいがた」になりました。
  • 新潟の「潟」は読み書きできないが、「新」は読み書きできる、ということで「にいがた」は「新がた」になりました。
  • 「会津は白虎隊で有名」というコメントにより、会津藩が登場。仙台県と領土の検討を行います。
  • 佐賀は消滅したものの、「佐賀はどこにあるかはまったく見当がつかないが、どこかにはあるはず」という意見が多かったため、佐賀はとりあえず海底都市になりました。
  • 佐賀は英語表記だった気がする」というコメントにより、SAGAに改名されました。
  • 「夏の間、軽井沢はもっと涼しい北の方にあるような気がする」というコメントにより、軽井沢は北に移動しました。
  • 京都に法隆寺が建ちました。
 こんな感じで、日本地図がどんどん塗り替えられていく。地図が変化していく様子を眺めているのは純粋に面白い。
 共感できるかどうかはその人次第だと思うが、私は好きだ。
 良いねぇ、浮遊都市軽井沢。こんな所に別荘を持ってみたいよ。

バカ日本地図 全国のバカが考えた脳内列島MAP
一刀 著
技術評論社

借力
http://www.chakuriki.net/
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by die-Abdiel | 2006-01-26 22:31 | 本・書評

夫婦をゆがめる「間取り」

熟年離婚の引金になりやすい夫婦別寝室や子供の個室最優先など、様々な問題を孕む「間取り」について述べた本。

残念ながら私は未婚なので、夫婦の寝室が同室か別室かのメリット・デメリットが実感としては分からない。が、夫婦間の会話を持つための共有空間が必要な一方、プライバシーを確保する空間も必要だというのは何となく分かる。
最終的に最も長期間暮らす住人は両親になるのだから、子供の個室を最優先すべきでないというのも理解できる。

ただ、パラサイト・シングルやニートの原因まで子供部屋に求めようとする辺りはちょっと言い過ぎだなと思った。確かに、自室にTVもゲームもパソコンも冷蔵庫もある、という疑似ワンルームマンションのような状態じゃひきこもるかなぁ、と思う。なので一因には充分なっていると思う。
ただ、それらはどちらかと言うと他の社会的要因で引き起こされている場合の方が圧倒的に多いのだ。
例えば、私達より少し上の年代になると「フリーター」=「自由人」であるというような認識をしている人が多く見られるが、これは大きな誤りである。彼等の実体は体の良い低賃金労働者だ。
一昔前までは、大卒で真面目に就職活動をすれば、企業の一般職に正職員で採用されるというのはほぼ普通の事だった。ところが、今や一般職は派遣の人など、非常勤職員であるというのがどこの企業でも当たり前になってきている。公務員さえ削減すると政府は方針を打ち出している。
人件費削減の名の下に、安定性のある職そのものが淘汰されているのだ。受け皿が小さくなればあぶれる人が増えるのは自明の理だ。彼等は自ら進んで不安定な職に就いたのではなく、ふらふらきままに過ごしていたために定職に就けなかったのでもない。事実、大半のフリーターや派遣労働者は定職に就くことを希望している。
定職に就けなければ自立は難しい。まして結婚して子供を作って家庭を築こうとなれば非常な決断を迫られる。

私自身は、ここまで職の不安定な低賃金労働者層が拡大したのは、「フリーター」という造語を産み出し、アルバイトで食い繋いでいくような生き方がさも思い通りのライフスタイルを送れるように喧伝したリクルートの功罪だと考えている。が、リクルートがその社会的責任を負うということはまずないだろう。
フリーターは自由人であるという誤った認識の上に企業の都合が乗っているからだ。誤った認識を壊さなければ、定職に就きたいが就けないという悪循環から脱出できない。
それなのにその状態が当たり前のように感じ、政府までその風潮に乗ろうというのはもってのほかだ。これでは二極化社会の到来を避けられない。

また、
「諸外国では大学生にもなれば親元を離れて自立するのは当たり前」
とあるが、これも日本の現状では難しい。
確かノルウェーでは、奨学金を受ければ学費・生活費の面で心配は要らないのだが、残念ながら日本は国公立大に入学できれば学費は国が税金で賄ってくれるというようなシステムではない。奨学金を受けた上でアルバイトをしても、学生が自分で学費と生活費両方をカバーすることはできない。
ならば、仕送りするよりはむしろ、家から通えるなら通って欲しいと思うのは自然な感情だろう。

また、金銭的な理由以外に精神的な理由もある。
丁度本書でも日本人の思い描く理想的な家族像としてサザエさん一家を挙げているが、まさにそうした「親子3代が1つ屋根の下で暮らす」のが日本人の理想だからだ。そうした理想像が定着したのは、本来日本人が農工民族であることによる。農業を営むには家族が同じ場所に住み、親、子、孫へと土地が受け継がれる必要があり、またそれが当たり前だったからだ。
サラリーマン世帯が増大し、核家族化が進んだ今でも、土地を継ぐという考えは根強い。都心部や都会に働きに出るのが当たり前の地方ではさほどではないかもしれないが、やはり古い家ほど根強い。
例え家業を継ぐ必要がなくても「家」を継いで欲しい。継ぐ為に同居を望む。あるいは、結婚前に家から追い出すべきでない、というような、イエ制度的な価値観が残っている。
両親が他界した場合、親世帯と子世帯が別居していても、土地(及びそこに建つ家)は普通相続されるものであり、整理されるものではない。核家族化が進んだ今でも、彼等は未だ土地は継ぐものという考えから脱却していない。

また他に、自宅で事件を起こした場合の構造の問題点もあげている。
本書で取り扱っているのは、連続幼女殺人事件、女子高生コンクリート詰め殺人事件、新潟少女監禁事件の3件。加害者の自宅の共通点として、リビング等家族の共有部分が動線上に無い、機能していない、玄関以外から部屋に侵入できる、親の居室からは子供部屋の様子が分からない、外から内部の様子が全く窺えない、という5項目を挙げている。
確かに、家族同士、ご近所同士でも全く動向が分からないというのはまずいと思う。
ただ、玄関以外から入れるというのは、犯罪者を産み出しやすいという以前の問題のような気がした。つまりそれは、泥棒に狙われて当たり前の構造上の欠陥だと思うのだ。そういうのは、そこに住む住人が犯罪者になると予見できなくとも、むしろ設計段階で気付いて回避すべきことだったんじゃないのか。
そしてこちらもやはり、間取りばかりが原因ではなくて、家庭環境、地域環境など他にも様々な要因が重なって引き起こされたのだと思う。

間取りの話からは外れるが、
「うちの子に限って、まさか犯罪を犯すようなことはすまい」
と考えてついつい我が子の動向を見過ごしがちにする親も問題ならば、
「うちの子に限って、まさか犯罪に巻き込まれるようなことはあるまい」
と考えてしまう親も問題だと思う。
最近はGPS携帯を子供に持たせたい親が増えているらしい。しかしGPS携帯というのはあくまで位置を知らせるものなので、誘拐そのものの防止にはならないと思う。GPS携帯を持たせて安心していては片手落ちだろう。
それよりは、知らない人についていったりしないよう、きちんとどういった人物が危険なのかを手が離れる年齢になるに従って教えた方が適切だと思う。怪しい人物は、サングラスにマスクをつけて、トレンチコートにハンチング、なんて格好はしていない。彼等は十中八九おとなしくて真面目そうな青年なのだ。怪しいかどうかは見た目の問題ではない。
どういった発言、行動をとるかの方が重要な判断材料になる。

怪しい人も、最初は普通に話しかけてくることが多かったりすると思う。時間を聞くだとか、道を聞くだとか。
もし、道を聞いてきたのが中途半端なガイドブックを片手に持った人ならば、その人は普通の観光客だ。同じ道を聞くにしても、その人が車に乗っているのにわざわざ通行人の自分に聞いてきて、なおかつ案内して欲しいとか言い出すようなら、その人は危険だ。大人ならば普通に分かると思うが、小さい子供だとこの差が理解できていなかったりすると思う。
なので、きちんと子供に「怪しい人像」を思い描かせ、その上で地域性やシステムを育む。そうすることによって防犯性が高まるのだ。
その他にも、社会福祉、高層住宅、建材など、諸問題について述べられている。
欲を言えば、問題点の指摘ばかりではなく、成功例ももっと多く含まれていれば良かった。そうすれば、前向きな提案が色々となされただろう。
ともあれ、様々な問題をざっと一望できて良かった。入門用に読んでみるという感じが丁度良いのではないだろうか。

夫婦をゆがめる「間取り」
横山彰人 著
PHP研究所
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by die-Abdiel | 2006-01-10 23:12 | 本・書評

名僧百言

日本史に名を残す名僧達の言葉を、経典や著書から集めたもの。
人生について、救済について、無常について、解脱について、愛や慈愛について、生死について、など、前章・後章合わせて10章に分けて構成されている。巻末に各僧侶の簡単な解説も掲載されている。
「どの宗派の人だったかな?」
という時にも迷わずに済むように、という配慮だろう。

内容的にも、宗派問わず収録されている。従って、共感できるもの、できないものは、おそらく読み手によって様々だろう。

個人的に好きなのは一休宗純だ。破戒僧なのに人徳があるところに魅力を感じるのだ。
宗教者として純粋に優れていると思うのは、やはり空海や親鸞だろうか。
「いくら念仏してもいっこうに法悦の心はおきない」
という言葉に対して
「ならば往生は間違い無い。阿弥陀如来の救済はそういった煩悩具足の凡夫のためのものなのだから」
というような内容のことを説くとか。普通、そんな返し方は思い付かないだろう。

また、個人的に自戒せねばなるまいと思うような言葉もあった。
「我必ず聖しきに非ず。彼必ず愚に非ず」
など。

ありがたい言葉が記された、マニ車のような本であった。
これで、いつでも往生できるであろう。

名僧百言 智恵を浴びる
百瀬明治 著
祥伝社新書
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by die-Abdiel | 2006-01-09 23:55 | 本・書評

10月10日の爆破予告

 10月10日、丸善京都河原町店が閉店する。ここの店舗がいつから使用されていたのかはよく知らないが、丸善の創業が明治2(1869)年だそうだから、もう随分経つに違いない。
 丁度10月8日から10日までの3連休の間に閉店セールをやっているようなので、ちょっとした悪戯心を抱えながら丸善に足を運んだ。

 さて、知っている人は知っていると思うが、この丸善、梶井基次郎の「檸檬」の舞台となっている。
 その影響で、入ってすぐの所に「檸檬」の文庫本と「Lapita」11月号が沢山積まれていた。「Lapita」には、丸善とコラボレートして作られた『ミニ檸檬』万年筆がおまけに付いている。
 閉店記念にと思って、「檸檬」と「Lapita」を購入。

 買ったばかりの文庫本の見返しを開き、喜び勇んで檸檬スタンプなど押してみる。

 「すいません、毎日放送ですけど…」
 カメラを向けられた。

 TVが取材に来るなんて思わなかったから、素ッピンで来ちゃったよ…

 予想通り、丸善閉店のことや梶井についてインタビューを受ける。

 元々私は梶井基次郎の熱狂的なファンと言うほどのものではない。
 「檸檬」については、
「爆発したら確かに面白いよね、うん」
くらいの認識である。
 個人的には、どちらかというと「桜の樹の下には」の方が好みだろうか。
「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」
なんて、鬱屈した、非常に日本人らしいセンスのステキな妄想じゃないか。

 しかしそんなコメントは誰も求めていまい。
 この人は、間違いなく「檸檬」についてのコメントを求めているのだ。

 どうしよう。
 適当なことを言ってやり過ごしたいが、あまりいい加減な回答をするわけにもいかない。突然のことなので、とっさに気の利いた言葉もなかなか浮かんでこない。土台私はそんなに造詣が深いわけではないのだから、あまり立派な回答は期待しないで欲しい。
 などと思いながら、何とか切り抜けようと考えているうちにインタビューは終わった。
 全く大した内容ではなかったにもかかわらず、要らぬ緊張をしてしまった。

 これ、ひょっとしたらTVに映るかもしれないのね。
 電波に乗るんだと思えば何だかわくわくする。しかし内容が内容だけに、もしかしたら梶井ファンに生卵をぶつけられてしまうかもしれない。
 ……このことは、封印するべきか。

 その後、2階の文芸書コーナーを物色しに行く。
 寺町のスーパーで買ってきた檸檬を仕掛けるためだ。
 適当な場所を探してフロアを歩いていると、レジから見えにくい本棚の端に檸檬が置いてあったりした。似たような事を考える人は他にも沢山いるらしい。
 面陳されている岩波文庫の「檸檬」の後ろに丁度良いスペースを見つけた。そこに買ってきた檸檬を滑り込ませて私は、何喰わぬ顔をして外へ出る。

 丸善の棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆弾を仕掛けて来た奇怪な悪漢が私で、10月10日にはあの丸善が沢山の単独犯によって大爆発をするのだったらどんなに面白いだろう。
 私はこの想像を熱心に追求した。「そうしたらあの行詰った丸善も粉葉みじんだろう」
 そして私はパチンコ屋のネオンが奇体な趣きで街を彩っている河原町を下って行った。

 
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by die-Abdiel | 2005-10-08 21:15 | 本・書評

日々の徒然を書き綴ったり書き綴らなかったり。


by die-Abdiel

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